パレスチナ解放機構PLOのアラブ・国際関係局DAIRから「パレスチナ獄中者の合意」(2006年5月29日)が届きました。ファタ派の総書記、ハマスの指導者、イスラム聖戦、パレスチナ解放人民戦線総書記代理の4者が連著した18項目にわたる、パレスチナの異なった「派」や「グループ」の間の対話を形成するうえで重要な文書です。また、この文書に関する意見を求め、歓迎しています。
なお、和訳したのは原文のアラビア語からではなく、その「非公式な英訳」からであり、かつ、それがほとんど主語・述語のない構文上意味不明のものなので、内容を正確に伝えられていない危惧があります。いずれどなたかがアラビア語から直接和訳される日を期待しつつ、とりあえず暫定的な素訳として公開します。間違い、誤訳のご指摘いただければありがたし。(訳者:津村 洋)
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アラブ・国際関係局DAIRは、添付の資料が、異なったパレスチナ諸勢力の間のあらゆる対話の基本的枠組みを形成するものと強く確信しています。
私たちは、この資料をあなたに転送するとともに、それに関するあなたの考えや示唆を歓迎します。
コメントは、以下のアドレスに書き送ってください。
Suha Khatib, Dair@palnet.com
パレスチナ獄中者の合意(2006年5月29日)
THE PALESTINIAN PRISONERS' AGREEMENT
以下の文書は、獄中のパレスチナ指導者たちが署名した「民族的合意文書」(The Document of National Agreement)の非公式な英訳です。
この文書は、もともと2006年5月11日に公表されたものです。
わが民族を脅かす危機が迫る中、パレスチナ内部の戦線を強化し、民族的統一、国内および亡命者の結束を図り、イスラエルが都合のいい解決を押しつけようとする企てと対決するために、民族的・歴史的なおおいなる責務を抱く。イスラエルは、人種差別的な分離壁の建設・拡張、エルサレムのユダヤ教化、入植地の拡張、ヨルダン渓谷の強奪、西岸地区の多くの部分の併合、パレスチナ人の帰還の権利行使の否定といった計画・策謀をもとにして、わが民族の夢、全面的な主権をそなえた独立パレスチナ国家を創設する権利を破壊している。
わが民族は、長い闘争の歴史を通じて築きあげてきた成果を維持し、偉大な殉教者たちの栄誉をたたえ、獄中で苦しみ、傷ついたものたちの痛みにを胸に、民族的・民主的な性格をもった解放闘争の途上にある。私たちは、この性格に適合した抵抗の政治戦略をまっとうし、カイロ宣言や統一の緊急の必要性に基づいた包括的なパレスチナ民族の対話を実現するために、偉大で忠実な国民、マハムード・アッバースMahmoud Abbas大統領、パレスチナ解放機構PLO指導者、イスマイル・ハニヤIsmail Haniyeh首相、内閣、パレスチナ民族評議会の議長と議員、立法府の議長と議員、すべてのパレスチナ勢力、諸派、NGO、人民諸組織、国内および亡命地のパレスチナ世論をリードする人々に、この文書(国民的合意文書)を提出する。私たちは、みなさんがこの文書に満足し、すべての支持と同意が得られ、この文書がパレスチナの国民的合意へといたるうえで貢献できればと期待している。
1.国内および亡命地のパレスチナ民族は、自らの土地の解放を求め、自由と独立の権利を自覚し、帰還の権利、1967年時点のすべての被占領地でエルサレムを首都とする独立国家創設を含む民族自決権を有す。先祖伝来の土地における歴史的民族的権利を基礎として、国連憲章、国際法、国際的合法性によって、難民の帰還の権利、すべての獄中者・被拘束者の解放は保障される。
2.あらゆるところにいるパレスチナ人を唯一正当に代表する組織たるPLOへのハマスとイスラム聖戦の参加を得、パレスチナ解放機構PLOの役割の強化と活性化に関する2005年3月のカイロでの合意を実現し、進展させる。PLOは、民主的諸原理にしたがってパレスチナ地域の発展にあたり、パレスチナ人の唯一の正当な代表として、国内でも亡命地でも責任をもってわが民を指導し、動員し、そのあらゆる民族的、政治的、人間的権利を国内外で擁護する。民族的利益のために、2006年末までに新たな民族評議会が構成される必要がある。それは、比例代表制を基礎として、闘争、政治・社会領域、民衆的規模での活動とその効果を考慮し、あらゆる部門、機関、組織、著名人をふくめて、すべての勢力、諸派、民族的・イスラム諸党、いたるところの諸グループを代表するものとなる。それはまた、PLOを翼下に広範な諸組織をかかえ、最高の政治的権威をもって国内外のすべてのパレスチナ人を団結する包括的国民連合、民族的枠組みとして守るためである。
3.政治的活動、交渉や外交努力とともに、パレスチナ民族の抵抗権を擁護し、1967年の被占領地におけるあらゆる手段による抵抗の選択肢を支持し、抵抗を集中する。わが民族は、あらゆる形態、場所、政策をもって占領にたいする民衆的抵抗を継続する権利がある。この民衆的闘争にすべれの部門、戦線、グループ、大規模な人々が参加し、拡大していくことの重要性が強調されねばならない。
4.パレスチナ人の全人民的政治行動の計画をあみ出すために、パレスチナ民族総意の綱領、アラブの正当性、わが民族に公平な国際的決議に基づき、パレスチナ人の政治的論説を統一しなければならない。パレスチナ解放機構PLO、パレスチナ自治政府PA、大統領、閣僚、民族的・イスラム的諸派、市民社会の諸グループ、公的諸組織と人物に代表されて、わが民族と民族的機構へのアラブ、イスラムおよび国際的な政治的・財政的・経済的・人道的な支援の再活性化、進展、動員がなしうる。わが民族の民族自決権、自由、帰還と独立の権利への支援を促進し、都合のよい解決をわが民族に押しつけるイスラエルと対決し、不正な強奪に立ち向かおう。
5.将来の国家の核としてパレスチナ自治政府を守り、強化する。自治政府はわが民族の闘争、血の犠牲、子らの苦難によって創設された。最高の民族的利益のために、この自治政府の臨時憲法、実効的な法、自由で民主的で公正な選挙によりパレスチナ人の意志として選出された大統領の権威、責任ある人々、議会によって信任を得ている政府の権威の尊重を必要とする。大統領と政府との創意工夫ある協力関係を、共同の行動の推進、両者のその時々の会合の招集、いかなる紛争についても臨時憲法と最高の民族的利益を基礎とした兄弟姉妹的な対話を通して、打ち固めることが重要かつ必要である。さらにまた、すべての国家的機関、とりわけ、決定を実行し法の支配を強化するためにあらゆるレベルの司法機関の包括的改革を実行する必要がある。
6.すべての、とりわけファタ派とハマスを含む議会的陣営によって民族的連合政府を形成する。この政府には、この文書ならびに、各地元、アラブ間、地域そして国際的にパレスチナ人がおかれた状況を緩和するための共同計画を基礎として、すべての政治グループの参加を得る。パレスチナ人のあらゆるグループからの大衆的政治的支持、アラブおよび国際的な支援を得る強力な民族政府は、差し迫る課題に挑戦し、改革の計画を実行し、貧困と失業と闘う。政府はまた、一貫として重荷に耐える地域、抵抗とインティファーダ、イスラエルの犯罪的侵略による犠牲者、とりわけ遺族、負傷者、占領によって破壊された家屋や財産の所有者、失業者や卒業生に可能な限り最大限の支援を提供する。
7.交渉の権限は、パレスチナの民族的目標をかかげ、実現させていくことを基礎として、パレスチナ解放機構PLO、パレスチナ自治政府の大統領の権威のもとにある。いかなる最終合意もあらたなパレスチナ民族評議会に提示され、その批准を得るか、または可能なところはどこでも住民投票にふされなければならない。
8.獄中者と被拘束者の解放は、すべての民族的、イスラムグループ、諸派、パレスチナ解放機構PLO、パレスチナ自治政府PA、大統領と閣僚、立法府PLC、すべての抵抗勢力にとって実現すべき神聖な民族的責務である。
9.難民を支援し、難民が必要とするものをみたし、その権利を擁護する努力を倍加しなければならない。難民を大衆的に代表する会議を招集し、諸機関が難民の帰還の権利を徹底的に擁護し、鼓舞するよう確認すべきである。国際世論に向けて、難民の帰還権と補償を求めた決議194の実現を訴えねばならない。
10.占領にたいする抵抗、抵抗活動の統一と調整を導くために、「パレスチナ抵抗戦線」という統一した抵抗戦線の創設のために奮闘し、その統一政治指導部を形成する。
11.民主的手続きを護持し、大統領、全国から地元・市にいたる議員選出の法に従って、自由で民主的かつ公正な総選挙、定期的な選挙を実施する。平和的な政権交代の原則を尊重する。パレスチナ人の民主的な経験、民主的選択とその諸結果を守ると誓う。法の支配、必要不可欠な公的な自由、出版の自由、権利と義務ある市民間の差別なき平等を尊重する。女性によって獲得されたものを擁護し、さらに発展・強化させる。
12.アメリカとイスラエルによるわが民族からの不正な強奪を拒絶し非難し、アラブ世界にたいし、パレスチナ民族、パレスチナ解放機構PLOと自治政府PAを公然と公式に支持するよう呼びかける。アラブ政府が、パレスチナ民族の不動の民族的大義を支持してアラブサミットであげた政治的、財政的、経済的な公的決議を実行するよう訴える。パレスチナ自治政府PAは、アラブの合意にかかわっており、アラブの行動に加わっていることを再確認する。
13.侵略と強奪に直面するなか、パレスチナへの内政干渉を拒否し、パレスチナ解放機構PLO、自治政府PA、大統領、内閣を支持し、一貫した抵抗を支援すべく、パレスチナ民族が団結して力を合わせることを呼びかける。
14.あらゆるかたちの不統一、分裂、騒乱を拒否する。いかなる正当化に基づくものであれ、内紛を解決するための武器の使用を非難する。子どもの間での武器の使用を禁止し、パレスチナ人の血の神聖を再確認する。対話は、紛争の解決のための唯一の手段であり、法にしたがって当局やその決定に反対することをふくめてあらゆる意見を表明できる。平和的で、武器を携行せず、公私の財産を侵害しないかたちで、抗議行動、集会、デモやストライキを行う権利がある。
15.民族的利益から、自由のための闘いにとっての新たな情勢、帰還、独立、西岸とエルサレムの解放にとって、ガザでのわが民とその政治勢力の継続的社会参加に適した手段を見いだす必要がある。ガザを確固として打ち固めることは、西岸やエルサレムのわが民の一貫した抵抗を進める上での背骨となり、真の力となっている。民族的利益にとって、占領にたいする闘争の最も成功しうる方法や手段の再評価が必要である。
16.パレスチナ治安機関と国と市民を守る役割を担うその部門を、もっと実行力がともなうように改革し現代化する。占領と侵略に対抗し、治安と公的秩序を維持し、法を施行し、抵抗闘争の印象をはなはだしく傷つけパレスチナ社会の統一を脅かす無法と銃の横行を終わらせ、無法な武器を没収しなければならない。武器を組織だって守るために、軍と抵抗諸グループの間の関係を組織的に調整する必要がある。
17.立法府が、治安機関とそれぞれの支部の活動を規制する法律を発効し続け、治安機関の成員、また法律で規定された被選出の行政当局にかかわるものの政党メンバーの活動を禁止する法律を策定するよう求める。
18.占領、入植、人種差別的分離壁にたいするパレスチナ民族の一貫した正当な闘いへの支援を集め、壁と入植の違法性・撤去を勧告した国際司法裁判所ICJの決定を実行させるために、国際連帯委員会および平和を愛する諸グループの介在と役割の拡大につとめる。
署名者:
マルワン・バルグーティMarwan Barghouti ファタFatah派総書記
Sheik Abdel Khaliq al-Natsche ハマスHamas指導者
Sheik Bassam al-Saadi イスラム聖戦Islamic Jihad
Abdel Rahim Malouh パレスチナ解放人民戦線PFLP総書記代理