12・9キューバ・シンポは面白かった!

「キューバでの反グローバリゼーション国際大会に参加して シンポジウム:社会主義キューバで何が起きているか トロピカル・ソシアリスモ、そして唄の島・・・・・音楽トークセッション・スライド上映を交えて」


 去る12月9日(土)午後2時〜5時、中央大学駿河台記念館にて、アソシエ21主催の企画「キューバでの反グローバリゼーション国際大会に参加して シンポジウム:社会主義キューバで何が起きているか トロピカル・ソシアリスモ、そして唄の島・・・・・音楽トークセッション・スライド上映を交えて」が開催されました。
 準備期間が短く、また他の講座や研究会などが重なったため、集まりはけして多くはありませんでした。講演、トークともにとてもよかっただけに、もっと多くの人に聞いてほしかったという思いです。

◎スライド上映

 最初に、11月にハバナ開催されたアメリカの経済封鎖に反対する国際友好連帯集会に参加された大田次郎さんが挨拶にたち、スライドで生々しい体験を報告してくれました。(写真右上)太田さんは、アソシエ21の会員であるだけでなく、生協連合会の職員です。生協でキューバとコーヒー(クリスタルマウンテン)の取り引きをはじめて行い、毎年会員や職員のキューバ訪問団を組織しています。
 今回、11月10日から約1週間キューバを訪れ、参加した第2回国際友好連帯集会には世界118ヶ国から4000人が集まりました。集会最終日の14日に登壇したカストロに対する熱烈な歓迎、彼の5時間を上回る大演説、1万人のデモ、街やお店、人々の様子がスライドによって次々と語られていきます。
 日本にはなかなかキューバの情報は伝えられませんから、こうした実体験に基づく生の報告はとてもためになります。

◎トークセッション:キューバの音楽事情とブエナビスタ現象

 ついで、主催者を代表してアソシエ21事務局長の橋本さんの挨拶に続き、音楽評論家の福田カズノブさんによるキューバ音楽についてのトークセッションです。(写真左)
 来日したブエナビスタ・ソシャルクラブと映画上映を契機に若い人たちの間でキューバ・ブームが起こっています。かつてキューバン・ボーイズ世代が、今、若い世代がはまっているキューバ音楽について詳しく語ってくれました。
 沖縄とキューバの音楽が島国であり、戦乱を経験し、何よりもルーツに根ざしたコンテンポラリーな音楽をやっている点での共通性。その起源が古く、世界の音楽史における重要な位置。15世紀以来の長いスパンで古いものと新しいものとが融合・共存している音楽レベルの高さ。技術の高い音楽家の分厚い層の存在。などなど。
 映画については、アングロサクソン的に製作されており、キューバの人やキューバに関心のあるひとから観れば噴飯ものという手厳しい評価。しかし、ヨーロッパから日本に飛び火したブームによりキューバが存在感ある国として認知された意味は大きいと。
 北米資本がキューバ音楽を商売として取り込もうとすること、日本で来年ブエナビスタの再来日が企画され老齢の音楽家に過度な負担を強いていること。共産主義を硬直してカテゴライズするのではなく、果たして日本が幸せなのか?という観点を持って、政治のすばらしい仕組みなど、音楽を契機にキューバから学んでいきたい。キューバの音楽・文化・革命政府のすばらしいところを、ブームに乗って飽きたらぽいっと捨てるような商品化の水準を越えて受け止めていくことを強調していた点が印象に強く残りました。

◎講演:社会主義キューバで何が起きているか

 質疑・応答につづいて、最後は、元ハバナ大学非常勤講師の新藤通弘さんの講演です。適度な脱線もあり、軽妙な語り口で楽しく勉強できました。(写真右下)
 冒頭に、トークセッションでの質問に答える形で、キューバ音楽家協会に属する公務員としての音楽家の処遇、活動のしかた、そして音楽家の自由の問題をわかりやすく解説してくれました。
 メインの話としては、革命前の地主制・モノカルチャー経済・米の支配から革命過程、60年代から70年代にかけての国営万能論・貨幣をなくそうとした試み・共産主義の飛び地論のような革命的攻勢論の行き過ぎ、誤りから、72年コメコン加盟以降のソ連に都合のいい協力関係下での苦難を経て、90年代の「平和時の非常時」という危機にいたる流れを追っかけてくれました。
 ソ連崩壊以降は、60回以上もキューバを訪問している経験を通しても、行く度に人々がやせこけていく様を実感したそうです。生産が激減し、石油が入ってこず、アメリカによる経済封鎖で首を締めつけられている危機の下で、外貨所持の自由(現状の追認)、国営農場の解体=協同組合農場への転換、個人営業の承認(75年に誤りを認めた)、非政府市場の承認(現状の追認)、銀行改革、外資導入などの改革で建て直しを図ってきたこと。
 こうして90年代以来、市民一人一人が社会的な連帯感をどう実現できるのか、どういう社会を形成していくのか、その問題を投げかけていました。キューバは今、混合経済という実態で、社会主義ではなく過渡期を自認し、長期にわたってアメリカと対峙し続けているのです。
 講演後の質疑応答では、協同組合の実情や、後継者問題、94年ハバナ騒乱、99年エリアン事件での動員・教育などが議論になりました。

 集会後は、近くの飲み屋で活発な交流会が行われました。ぜひこうした企画を継続してほしいと思います。
 (2000年12月13日)


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